新左翼史へのいざない

世間には共産趣味という趣向を持つ人間がいる。
左翼の界隈に属している、もしくは、全く関係ない人でも、左翼の動向に対して、執着をもって追いかける種類の人間だ。
もちろん共産「趣味」は共産「主義」のもじりであるが、世間の活動家は過激でもって知られているので、魅力はあるのだろう。
かつて、一人一党とまで言われ、現在でも、無駄に党派がわかれている左翼の世界であるため、なかなか飽きがこない。

だが、一方で、そういった趣向を持たない人間に「中核派っていうのは、革共同の中で分裂してできた党派」と説明したところで、よく伝わらないだろう。
説明が非常に難しい。


右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

どうでもいいが、筆者である浅羽通明氏は法政の非常勤講師である。
右翼が左翼の「反動」として現れ、当時は特に「天皇」といったキーワードは意識されていなかったという。日本の共産主義化阻止としての反共・反左翼であった。
新書だけあって読みやすい。戦前からの左翼と右翼との歴史を扱っていて、現在のネット右翼にまで及ぶ。左翼史としては不十分であるが、あまり知られていない右翼史としては知識としておもしろい。


新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)

新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書)

荒岱介という戦旗派の方が書いた左翼史(新左翼史)。戦旗派というのは共産主義者同盟、通称ブントの一派だが、党派性関係なく新左翼の歴史がコンパクトにまとめられている。
丁寧にまとめられているため、何度も繰り返し読むと新左翼史が頭に入ってくるかもしれない。